私がアトピーじゃなかったらもっと違う人生を歩めていたと思う。
たかだか肌荒れでしょう?
そうお思いの方の認識を今日改めたい。
なんちゅのアトピーはそこまで重くない。
重度のアトピーの人たちは社会生活が難しいほどになる。
黄色の液が皮膚から滲み出てパジャマやシーツがくっつくらしい。
なんちゅのアトピー歴
幼稚園時代に発症。
なんちゅはステロイド+保湿というスタンダードな治療。
いつも関節と背中がカサカサしている。そして、色素沈着で真っ黒。
運動すると火照りがつらくて痒い。
冬は乾燥で辛い。
なんとなく痒くなったら塗って、薬が終わるか痒みがひどくなったら病院に行った。
兄弟も程度は違うけど3人とも全員アトピー。
風呂から上がったら、母親に背中を塗ってもらう。
それが日常だった。
夏になると、なんだか関節が不愉快になり、ぼりぼり掻きむしる。
イライラすると掻きむしる。
考え事してなんとなく患部を触っている。
勉強中痒くなると手がつかない。
そしてずっと疲労感や悲壮感がつきまとった。
爪には常に黒い垢があり、恥ずかしくてこっそり取るのだった。
辛かった学生時代。
スカートを履かなければならない。
当時、毛深くて父親の髭剃りですね毛を剃るけど、肌への負担が大きいからハイソックスを目一杯上げて誤魔化した。
しかし、ニーハイを履いている子はいなかった(というか存在を知らなかった)ので、関節は丸出し。
いつも肌が擦れて余計に痒みが増した。
痒いことよりも、思春期に一番辛いのは見てくれ。
高校三年、住みなれたところから引っ越し、環境の変化と受験のストレスでアトピーは大爆発。
今まで出てなかった顔に。
写真を見ると瞼の上が真っ赤に腫れて、自慢の二重が消え、腫れで厚ぼったくなり、常に半目だった。
薬を塗っててらてらした瞼。
痒くて仕方がないので、髪の毛を留めて、なんちゅのコンプレックスである広すぎるおでこを出すしかなかった。
皮膚科医の指導のいい加減さ
大人になって知ったけど、ステロイドを塗ると、すぐに新しいビニルみたいな皮膚ができて治った気になる。だが皮膚炎を火事とすると火に水をかけて火を小さくしているだけで、皮膚の中での火事はまだ起きてるらしいのだ。
だから、治ったと思っても火種はずっと燻っているから、鎮火作業=薬をつけることは続けなければならない。
そして火事が小さくなると段々と火事の大きさに合った強さの薬を塗る
そして、大学時代に5時間待ちの皮膚科医に出会い、そこで薬の塗り方を知る。
「ベタっと塗ってはいけないよ」
「こういう色しているところにはこの薬をうすーくうすーく塗るんだよ」
今まで薬に対して全く無関心だったけど、ステロイドには強さがある。
出されてきた薬はストロング以上のものばかりだったらしい。
らしい、というのはそれまで3つの皮膚科医にお世話になったが、どれも薬の説明や薬の塗り方の指導など全くされてこなかったためだ。
大学時代に、暇を持て余し、検索を続けた。
自分の体に興味が湧いたのだ。
そして同時に皮膚科医への不信感が沸く。
なんで小さい頃から「これ塗ってね」「ひどくなっちゃったね」と言って処方するだけだったんだろう。
みーんな「大人になったら治るからね」と言い続けてたけど、実際大人に近い体なのに変わらないじゃないか。
多分多くの人が悩みに悩んで、何かが信じられず、アトピーにいいというものを色々試し、アトピービジネスが儲かるのだろう。
忙しくなり、その皮膚科からも足が遠のく。
混みすぎて一日潰れるからだ。
別件でさらに皮膚科医にかかった時、
「アトピーですよね?どうします?(薬出しましょうか)」
「今は薬を塗りたくないんです」
すると、女医は鼻で笑って
「塗んなきゃ治んないわよ」と言った。
塗っていても治らなかった。適切な指導じゃなかったからか。
それにしても塗り続けないといけないのは治ったというのか?
お綺麗で美容皮膚科ご専門でしょうか?アトピーなんてなったことないんでしょ?という女医の顔を恨めしく感じた。
アトピーになると卑屈になるのかな。
とにかく、薬で治療するにしてもその皮膚科医だけは絶対にかからないという決意だけ固くなってしまった。
▶︎つづく